砂糖を増やしたら、市販のクッキーの味に近づきました|南米の食品規制チャレンジ研究室
今回も「南米の食品規制チャレンジ研究室」です。
南米などで行われている食品規制を参考にしながら、「家庭で作るお菓子は、どこまで変えられるんだろう?」
そんなことを実際に作りながら試しています。
今回はオートミールのクッキーです。
実はこれまで、砂糖の量を少しずつ変えながら何度か作ってきました。
そして3回目を食べたとき、
「あれ? ちょっと甘すぎない?」
と思ったんです。
ところが、その「甘すぎる」が今回とても面白い発見につながりました。
まずは1回目
材料はこちらです。
オートミール 100g
米油 大さじ2
米粉 大さじ3
水 大さじ3.5
きなこ 大さじ1
ごま 大さじ1
ザラメ 20g
それ以前には砂糖10g程度でも試していました。
そこから20gに増やしてみると、ちゃんとクッキーらしい甘さになります。
でも、
「甘すぎるなあ」
という感じではありません。
きなことごまの香ばしさもあって、私にはこのくらいがちょうどいい感じでした。
2回目はピーナッツを入れてみました
次はこちらです。
オートミール 100g
米油 大さじ2
米粉 大さじ3
水 大さじ3
バターピーナッツ 大さじ2
ザラメ 20g
使ったバターピーナッツは、トマトコーポレーションの粒入りタイプ。
100g当たり、
エネルギー609kcal
たんぱく質25g
脂質45g
炭水化物25g
食塩相当量0.8g
というものです。
砂糖は今回も20g。
ピーナッツが加わることでコクが出るので、甘さだけではないおいしさがあります。
ここでも、
「砂糖は20gくらいでも十分じゃないかな」
という印象でした。
そして3回目。砂糖を30gにしました
材料はこちら。
オートミール 100g
米油 大さじ2
米粉 大さじ3
ココナッツミルク 大さじ3
ザラメ 20g
てんさい糖 10g
塩 少々
砂糖は合計30gです。
10gから始めて、20g、そして30g。
少しずつ増やしてきたわけです。
「30gなら、もっとおいしくなるかな?」
と思って食べてみました。
ところが、「あれ? ちょっと甘すぎるぞ」となりました。
もちろん、おいしくないわけではありません。
むしろ、お菓子としてはとても分かりやすい味です。
そして食べているうちに、
「これ、市販のクッキーの味に近くない?」
と思ったんです。
では、この3つは南米の規制に引っかかるのでしょうか?
ここで、この研究室らしい疑問が出てきました。
1回目、砂糖20g。
2回目も20g。
3回目は30g。
だったら、
「どれが南米の食品規制の基準を超えるんだろう?」
調べてみたくなります。
ところが、ここで一つ問題がありました。
焼き上がったクッキーの重さを量っていなかったんです。
これは今回の反省点です。
砂糖20gだから「20g/100g」ではありません
ここは私も実際に作ってみて、改めて面白いと思ったところです。
例えばオートミール100gに砂糖20gを入れたからといって、
「このクッキーは砂糖20g/100g」
とはなりません。
米粉も入っています。
油も入っています。
水も入っています。
きなこやごま、ピーナッツも入っています。
そして焼けば水分が飛びます。
南米などで採用されている食品の前面警告表示では、こうした最終的な食品を100g当たりに換算して判定する制度があります。
例えばチリでは、一定の条件に該当する固形食品について、100g当たりの糖類、エネルギー、飽和脂肪、ナトリウムなどに基準が設けられています。
ですから本当なら、「焼き上がったクッキー全部で何gだったのか」
これを量っておく必要がありました。
今回は量っていません。
そのため、
1回目=規制対象
2回目=規制対象外
というような断定はできません。
これは正直に「今回は判定不能」としておきます。
でも、判定できなかったから分かったこともあります
最初は、「砂糖を何g使ったか」ばかり考えていました。
でも規制の基準を調べてみると、それだけでは足りなかったんです。
同じ砂糖20gでも、出来上がったクッキーが200gなのか、150gなのか、120gなのかで、100g当たりの糖類は変わってきます。
さらに、材料そのものに含まれている糖類や脂質、ナトリウムなどもあります。
つまり食品規制が見ているのは、
「砂糖をスプーン何杯入れたか」ではなく、「最終的に出来上がった食品がどんな食品になったのか」
ということなんですね。
これは実際に作ってみなければ、私はあまり意識しなかったところでした。
そして、もう一つ面白かったのが自分の舌でした
法律上の判定は、今回はできません。
でも自分の舌では、はっきり違いがありました。
20gでは、「これくらいでいいな」と思いました。
ところが30gでは、「ちょっと甘すぎるな」と感じました。
しかも、その30gの味が市販されているクッキーの甘さに近く感じたんです。
ここから考えたことがあります。
なぜ市販のお菓子は甘くなりやすいのでしょう
以前ロサンゼルスへ行ったとき、スーパーなどで買ったクッキーを食べて、
「ずいぶん甘いなあ」
と思ったことがあります。
もちろん、アメリカの商品がすべて甘いわけではありません。
ただ、私が食べたものの中には、かなり甘く感じるものがありました。
そのときは単純に、「海外のお菓子は甘いんだな」くらいに思っていました。
でも、自分で10g、20g、30gと増やしてみると、少し違った見え方をするようになりました。
商品を作る側からすれば、甘さを減らすのは怖いことでもあります。
「味が薄い」
「物足りない」
「おいしくない」
と思われてしまえば、次に買ってもらえないかもしれません。
だったら、もう少し甘くしよう。
もう少し分かりやすい味にしよう。
これは企業からすれば、とても自然な判断だと思います。
でも、それが積み重なったら?
甘いものに慣れる。
すると、それより甘くないものを物足りなく感じる。
企業は消費者が「おいしい」と感じる商品を作ります。
そして、その商品を食べ続けることで、またその甘さに慣れていく。
もしそんな循環があるのなら、
「企業が悪い」
「消費者が悪い」
という単純な話ではありません。
売れる味と、慣れていく味が、お互いを少しずつ強くしていく。
そんなこともあるのではないでしょうか。
だから中南米まで規制が広がっているのかもしれません
食品の前面警告表示はチリだけのものではありません。
ペルーをはじめ、中南米の複数の国で同じように、糖類、脂質、ナトリウムなどが多い食品を消費者が分かりやすく判断できるようにする制度が導入されてきました。
そしてチリでは、警告対象となる食品について、学校での販売や子ども向け広告にも制限があります。
ここまでやる理由を考えると、単に、「今日食べるクッキーの砂糖を少し減らしましょう」
という話だけではないように思えてきます。
子どもの頃から、強い甘さや濃い味だけを「普通のおいしさ」にしない。
食べ物を選ぶ環境そのものを少しずつ変えていく。
そんな狙いもあるのではないでしょうか。
では、甘さを減らしたらおいしくなくなるのでしょうか?
ここからが次の実験です。
今回の1回目では、きなことごまを使いました。
2回目ではピーナッツを使いました。
どちらも砂糖は20gでしたが、香ばしさやコクがあります。
だったら、
甘さを強くする以外にも「おいしいクッキー」を作る方法はあるんじゃないか。
砂糖を30g入れて分かりやすい甘さを作るのではなく、
20gくらいにして、その代わり香りや食感、香ばしさを工夫してみる。
もしかすると、こちらの方がこの研究室では面白いかもしれません。
次からは焼き上がったら量ります(笑)
今回、南米の食品規制に照らして判定しようとして、大切なものを一つ忘れていたことに気がつきました。
焼き上がり重量です。
なので次回からは、焼き上がったクッキー全体の重量も量ります。
そうすれば100g当たりに換算して、各国の基準と実際に比べられます。
砂糖10g。
20g。
30g。
たった10gずつ増やしただけなのに、味の感じ方はずいぶん変わりました。
そして今度は、その違いを「自分の舌」だけではなく「食品規制の数字」でも見てみたいと思います。
果たして、私が「ちょうどいい」と感じるところと、南米の食品規制の境目は、どのくらい離れているのでしょうか。
次のクッキー作りが、ちょっと楽しみになってきました。
南米の食品規制チャレンジ研究室。
まだまだ実験は続きます。












