玉ねぎの切り方でここまで変わる。縦切り・輪切りの違いと、炒め物がおいしくなる科学的な理由
*玉ねぎの切り方でここまで変わる。
縦切り・輪切りの違いで、いつもの炒め物がもっと楽しくなる話**
今日はお客様から教えて頂いた面白い話しを書きたいと思います。**玉ねぎの“切り方による違い”**についてです。
難しい話はではないので、少し時間がありましたらお付き合いいただければと思います。
いつもの玉ねぎの切り方を少し変えるだけで、料理の味が変わるんです。
■ 玉ねぎの味を決める「硫化アリル」という成分
調べてみると玉ねぎの辛味は 硫化アリル という成分によるものなのですが、これがとても揮発しやすく、熱にも弱いのが特徴で
つまり…
• 生 → 辛い
• 加熱 → 辛味が和らいで甘くなる
• 細胞を壊す → 辛味が飛びやすい
という仕組です。
ここに、縦切りと輪切りの違いが深く関わってきます。
■ 縦切りと輪切り、実はこんなに違うんです
●縦切り(繊維に沿って切る)
• 細胞が壊れにくい
• 水分が抜けにくいのでジューシー
• 形が崩れにくい
• “シャキッと感”が残りやすい
科学的には、“繊維の方向を守る=細胞が壊れにくい=水分と旨味が保持される”
●輪切り(繊維を断つ)
• 辛味が早く抜ける
• 熱が入りやすく甘味が出やすい
• 柔らかくなりやすい
• 香りがふわっと広がる
こちらは、“細胞が壊れる→硫化アリルが飛びやすい”ため甘くなるという仕組みです。
■ 生姜焼きには縦切りがぴったり
で、実際「これは違うよね」というのがここ。
縦切りの玉ねぎは、
• 火を通してもくったりしすぎない
• 豚肉の旨味やタレをしっかり受け止める
• 食べたときに“玉ねぎらしい食感”が残る
という特徴
生姜焼きのタレって、甘辛い中に少し苦味もあったりして複雑です。
その複雑さを受け止めてくれるのが、“縦切りの玉ねぎ”と言っても良いのでは。
■ ペペロンチーノには輪切りがちょうどいい
輪切りの玉ねぎは、辛味がスッと抜けて甘さが前に出ます。
ペペロンチーノのように具材が少ない料理では、この“軽い甘さ”がとても良いアクセントになります。
ほんのり焦げ目がつくくらいサッと炒めると、オリーブオイルの香りをまとっていい仕事をしてくれます。
■ 実は…縦切りは切り方そのものにコツがあります
玉ねぎを半分に切ったあと、ただ上から包丁をストンと下ろすと…
中心部は縦切りになっているのに、初めと終わりは“斜めに繊維を断つ形”になりがちです。
これだと、
• 内側:縦切り
• 外側:輪切りに近い状態
になってしまい、仕上がりにムラが出ます。
そこでポイントは、
中心に向かって、包丁の角度を少しずつ変えて扇形に包丁をいれて切ること。
これだけで“全部が縦切りの玉ねぎ”になります。
ちょっとしたことですが、違いは大きいです。
■ 輪切りは向きを変えるだけ。厚さ調整で料理が変わる
輪切りのほうは、向きを変えて上から切るだけでOK。
ただし…
• 厚め → 甘味が強く、香ばしい仕上がり
• 薄め → やわらかく軽い甘さ
ペペロンチーノなら薄め、
ハンバーグの付け合わせなら少し厚めがちょうどいいです。
だから、ピザは薄めの輪切りなのかなって思うと、理屈が通ると思います。
■ 毎日の料理は、小さな気づきが増えるともっと楽しくなる
料理をしていると、ある時ふと
「今日の玉ねぎ、やたら甘いな」「薄い輪切りだとこんなに軽くなるのか」「切り方でこんなに違うんだね」
そんな発見がよくあります。
料理って、こういう“ちょっとした気づき”で楽しくなるものなんですよね。
■ 玉ねぎ1個にも、長い時間がかかっている
スーパーに並ぶ玉ねぎは当たり前のように買えますが、実際は農家さんが何ヶ月もかけて育てたものです。
• 天候
• 害虫
• 気温
• 収穫のタイミング
いろんな不安や苦労があって、それを乗り越えてようやく手元に届いています。そんな玉ねぎは無駄には利用できないし、いろいろ楽しめれば農家さんだって嬉しいと思うです。
そう思えたとき、玉ねぎの見方が変わるように食材の見方が変わって料理の見え方も変わってきます。
■ 年齢を重ねると、料理に向き合う時間も変わってくる
生活のペースや体の調子が微妙に変わると、料理に対して「少し丁寧にしたいな」と思う瞬間が増えます。
•食後の体の軽さ
• 食材の選び方
• 火の通し方
ちょっとした変化が気になり始める時期に、玉ねぎひとつの切り方が“楽しい発見”につながる。
それも料理の面白さだと思います。
■ まとめ:切り方ひとつで料理は変わる
• 玉ねぎは縦切りと輪切りで全く違う
• 生姜焼きは縦切り、ペペロンチーノは輪切り
• 縦切りは“扇形テクニック”で全部がきれいに切れる
• 輪切りは甘さが出やすく、軽い仕上がり
• 食材にも道具にも、作り手の時間がある
• 料理は小さな発見でどんどん楽しくなる
今日の玉ねぎが、いつもよりちょっとおいしく感じてもらえたら嬉しいです。












