鉄フライパンでエビチリを作る

鉄フライパンでエビチリを作る


ちょっと聞いてください。

「今日の夕飯、エビチリだよ」と聞いたときの、あの心の小さなガッツポーズ。ありませんか?

餃子でもなく、ハンバーグでもなく、エビチリ。ちょっと特別感があって、「おっ!」と家族に思われるメニュー。

でも正直なところ、作る側にとっては「あまり作らないし、辛そうだし、なんか難しそう」と感じる料理でもあるんです。
そこで今回は、エビチリを「おいしい」だけじゃなく「健康にも良くて、ちょっと得した気分になる」料理として紹介したいと思います。

ちょっとした科学の話や、細かすぎじゃないとか、聞くと「ふーん」とニヤッとできるネタを交えながら進めますので、肩の力を抜いて読んでください。


栄養の話(でも小難しくしません)

エビの小さな身体に隠されたパワー

エビってあんなに小さいのに、実はとってもパワフル。


代表格は「タウリン」。栄養ドリンクのラベルで見かけるあれです。肝臓を助けて疲労回復に効くと言われています。そして、赤い色のもとになっている「アスタキサンチン」。これはサケにも含まれる抗酸化成分で、アンチエイジングの味方です。日本水産学会の報告(2008年)でも、生活習慣病予防に期待できるとされています。

「エビってちっちゃいし、栄養なさそう…」なんて思ってたら、実はとんでもない実力者だった、というわけです。
まるで見た目は地味なのにカラオケでめちゃくちゃ歌うまい同僚、みたいな存在です。


ここで一緒に入れるともっと元気になる食材たちを紹介します。

エビチリに欠かせないショウガニンニクネギ。これらも立派な健康サポーターです。

ショウガの辛味成分は血流を良くし、ニンニクのアリシンはビタミンB1の吸収を助けます。つまり、エビだけでも十分頼もしいのに、さらに応援団がそろっている感じです。

しかし加熱しすぎ注意報発令‼️

ただし注意したいのは「火の入れすぎ」。エビに含まれるビタミンB群は熱で壊れやすいんです

だから炒めすぎると、ぷりぷり感も栄養も同時に逃げてしまいます。ここは「さっと炒めて決める」が正解です。
「いやいや、そんな細かいこと気にしないよ」という気持ちもわかります。けれど、知っていると“それっぽく”仕上げられます
こんな少しの知識が、台所での自分をちょっと誇らしくしてくれるんです。


道具の話(鉄フライパンはただの重い鍋じゃない)

鉄フライパンで鉄がとれる?

鉄フライパンを使うと、調理中にごくわずかに鉄分が食材に移ります。特にケチャップのような酸味のある調味料を使うと、この効果はちょっと強まります。厚生労働省の「食事摂取基準」でも、鉄不足は日本人にありがちな課題。だから料理を作りながら自然に鉄分を補えるのは、かなりありがたいことなんです。

もちろん「そんなちょっとの鉄で何が変わるの?」と思う方もいるでしょう。確かにお肉食べた方がいいし、サプリほど劇的ではありません。

でも、毎日の食事にちょっとずつ積み重なるのが“健康貯金”。まるでバントで確実に塁に進め得点する様なもんで、知らないより知っていた方が、ちょっと楽しくなります。

重いけど頼れる相棒も

「鉄フライパンは重いし、洗ったあと錆びるし…」と敬遠する声も聞きます。でも使い込むほど油が馴染み、むしろ軽く作ったフライパンはエビチリのように強火でサッと炒める料理にはうってつけ。
フライパンを振って火の🔥通りを均等化させ食材にムラなく様火が通るんです。

「知ってても知らなくても同じじゃない?」と思うかもしれません。でも、この差が「ただの料理」と「ちょっと自慢できる料理」を分けるんです。


おいしさの話(ここが一番ワクワクポイントでしょうか)

水分を飛ばすと味が濃くなる

鉄フライパンでエビを焼くと、表面の水分が飛んで旨味がギュッと凝縮されます。

これは「メイラード反応」といって、たんぱく質と糖が熱で反応して香ばしい風味を作る現象でもあるんです

コーヒーや焼き肉のあの香ばしさも、みんな同じ仕組みなんです(Journal of Food Science, 2015)。

つまり、鉄フライパンは「おいしい」を材料になぞかけするそんな道具でもあるわけです。

食感の変化も楽しい

加熱されたエビは、ぷりぷりっとした弾力が出ます。この食感は、生では味わえない“熱の芸術”。
作家・谷崎潤一郎は食を官能的に描きましたが、ぷりぷり弾けるエビを口にした瞬間の快感も、まさに小さな芸術作品です。

「そんな大げさな」と思うかもしれませんが、知っているとちょっとワクワクするんです。エビチリを作るたびに「今日はどんな食感に仕上がるかな」「あのえび🍤は鮮やと言うよりも艶やかって言ったりして」そんな言葉使いの楽しみが増えるんです。


まとめ:エビチリは“知ると楽しい料理

エビチリはただの中華メニューではなく、栄養・道具・おいしさが三位一体になった料理です。

栄養では、エビのタウリンやアスタキサンチンが健康を支える。
道具では、鉄フライパンが自然に鉄分をプラスしてくれる。
おいしさでは、メイラード反応が濃厚な風味とぷりぷり食感を生む。

「知らなくても作れるけど、知っているともっと楽しい」――それがエビチリの面白さです。

次にキッチンに立ったとき、鉄フライパンを手に取って「ちょっと知ってる自分」にニヤッとしながらエビチリを作ってみてください。きっと食卓がひとつ、明るくなるはずです。


鉄フライパンでエビを焼く
2025年10月31日