鉄フライパンの洗い方について

鉄フライパンの洗い方について

鉄フライパンを使って料理をしていると、その香ばしい焼き色や独特の味わいに「やっぱり鉄はいいな」と感じる瞬間があると思います。

ただその一方で、多くの方がつまずくのが「洗い方」です。

表面加工が施されたフッ素樹脂やセラミックのフライパンなら、水をかければスルッと汚れが落ちて、洗剤で軽く洗えばすぐ片付けられます。実際そんな映像を通販番組で見たりします

しかし鉄フライパンはそうはいきません。水をかけてもスルッと落ちることはなく、こびりつきが残るのが当たり前。ここが鉄フライパンと加工フライパンとの大きな違いであり、鉄フライパンを長く愛用するために最初に知っておくべきポイントです。

では、その汚れをどうやって落とすのか。

ここからは実際の洗い方を、わかりやすく丁寧にご紹介していきます。


洗うタイミングは「まだ温かいうちに」

鉄フライパンを洗う一番のコツは、料理が終わったら余熱が残っているうちに洗うことです。
熱すぎる必要はありませんが、余熱がある状態のときに水やお湯を流しながら、ステンレスパーマたわしで擦り洗いします。

ポイントは「円を描くように」やさしく動かすこと。強く力を入れなくても、フライパンの余熱と水流が手伝って汚れが浮き上がってきます。

ステンレスパーマたわしはコイル状になっているため、無理に力を加えても負荷が分散されます。そのおかげで、表面を傷つけにくく効率よく汚れを落とせるのです。逆にスポンジやナイロンたわしでは熱の問題があったり、汚れも落ちにくいこともありますので、鉄フライパンにはやはりステンレス製が安心です。


こびりつきが強いときは「再加熱」

それでも「どうしても焦げが残ってしまった…」ということもあります。

そんなときは焦らず、再度コンロに戻して5〜10秒ほど火にかけましょう。すると焦げが乾いて縮み、フライパンの表面から自然に浮いてきます。その状態でもう一度、水やお湯を流しながらステンレスたわしで円を描くように擦ると、不思議なくらい簡単に落ちるのです。
ここで大事なのは「無理にこすらない」こと。無理やり落とそうとすると表面を痛めたり、自分の手が疲れてしまいます。
落ちないときは“ひと呼吸置いて再加熱”が正解です。


洗剤を使わない理由と油膜の役割

「水やお湯だけで本当に大丈夫?」と不安になる方も多いと思います。ですが鉄フライパンは洗剤を使わずに洗うことを基本とします。

なぜなら、わずかに残った油分がフライパン全体に薄い膜を作り、それがサビ止めの役割を果たしてくれるからです。

もちろん、市販のたわしには洗剤があらかじめ付いているものもありますが、鉄フライパンに使うなら何もついていないシンプルなステンレスたわしを選ぶのが安心です。
鉄はとても素直な素材なので、正しい扱いをすればサビやすい性質も逆に「味わい」や「育ち」として楽しめます。


仕上げは「水分を飛ばす」

こびりつきが落ちたら、最後に残った水分をしっかり飛ばしましょう。方法は二つあります。

ひとつはそのままコンロに置いて軽く火にかけ、水分を蒸発させる方法。

もうひとつは布巾やペーパータオルで拭き取ってから、仕上げに軽く火にかける方法です。ペーパータオルだけでは水分を完全に拭き切れないことが多いため、最終的に軽く火を通してあげると安心です。こうすることでサビの心配がぐっと減ります。


油を塗る必要はある?

「最後に油を塗らなきゃいけないのでは?」という疑問もよく聞かれます。

答えは「必ずしも必要ではない」です。

先ほども触れたように、洗剤を使わないで洗えば薄い油膜が自然に残ります。その油膜がサビ止めになるので、無理に油を塗り足す必要はありません。
とはいえ、不安な方や長期間使わない予定がある方は、キッチンペーパーに少量の油を含ませて表面に薄く塗るとより安心です。「油を塗ってはいけない」という決まりもなければ「必ず塗らなければならない」わけでもないので、自分のスタイルに合わせて選んでください。


道具は「使い方」と「片付け方」で輝く

ここまで鉄フライパンの洗い方を紹介してきましたが、実はこれは単なるお手入れ方法にとどまりません。正しい洗い方を知ることは、鉄フライパンを長く楽しく使うための大切な知恵なんです。

たとえば車で考えてみましょう。どれだけパワフルなエンジンを積んでいても、ブレーキが効かなければ安心して運転できません。同じように、どれだけ料理を美味しく仕上げられるフライパンでも、洗い方を知らなければ次に使うときに困ってしまいます。
またファッションに例えるなら、気に入った服を買っても洗濯やアイロンの仕方、たたみ方を間違えると、次に着る時大変になってしまいますよね。

鉄フライパンも同じで、正しい洗い方を知ることで初めてその魅力を存分に引き出せるのです。


もし忘れていたら思い出してください

ここで少し、すでに私たちのフライパンを手にしてくださっているお客さまに向けてお伝えします。

毎日の料理で使っていくうちに、最初にお伝えした洗い方をうっかり忘れてしまうこともあるかもしれません。もし最近こびりつきが気になる…そんなときはぜひこの方法を思い出してください。
正しい洗い方を実践すれば、フライパンは何度でも元の状態に戻ります。「買ったときの喜びをまた取り戻す」そんな瞬間が必ず訪れますので、安心して使い続けてくださいね。


まだ使ったことがない方へ

そして、まだ鉄フライパンをお持ちでない方や、「なんだか難しそう」と思って手を伸ばせずにいる方にもお伝えしたいことがあります。

鉄フライパンは確かに最初は少し手間がかかるように見えるかもしれません。でも実際に使ってみると、その手間はほんの数分。そして慣れてしまえばむしろ「シンプルで気持ちがいい」と感じられるはずです。
正しい洗い方を知っていれば、鉄フライパンは長くあなたの台所で活躍し、料理をもっと楽しく、もっと豊かなものにしてくれる道具です。


まとめ:鉄フライパンの洗い方を身につけよう

鉄フライパンの洗い方は難しくありません.

• 余熱が残っているうちに水やお湯で洗う
• ステンレスパーマたわしで円を描くようにやさしく擦る
• 落ちなければ再加熱して再度洗う
• 洗剤は使わず、仕上げに水分を飛ばす
• 必要に応じて油を薄く塗って収納する

たったこれだけで鉄フライパンは驚くほど長持ちし、毎日の料理がもっと楽しくなります。洗い方を知っているだけで「フライパンは難しい」という不安が消え、むしろ「楽しい道具」に変わっていくでしょう。

鉄フライパンは決して特別な人だけのものではなく、誰でも扱えるシンプルな道具です。すでにお持ちの方は今日から思い出して実践を。
そしてまだ使ったことのない方は、この機会にぜひ手にとってみてください。あなたの料理時間が、きっと今よりもっと心地よいものに変わるはずです。

 

 

鉄フライパン
2025年10月16日