鉄フライパンで枝豆を焼く
鉄フライパンで枝豆を焼く
「香ばしさと濃い旨みを引き出す2つの方法」
枝豆といえば茹でるのが当たり前。塩を入れたお湯でゆで上げた枝豆は、ビールやお茶請けにぴったりです
でも、実は鉄フライパンを使えば、枝豆は「焼く」という調理法でも美味しく仕上がるんです。
今回は、フライパンに直接枝豆を入れて焼く方法と、塩を敷いて遠赤外線効果で焼く方法の2パターンをご紹介します。
どちらも枝豆の香ばしさと甘みを引き出せる調理法でフライパンひとつで簡単にできるのに、ゆで枝豆とは違う濃厚な味わいが楽しめます。
焼くと何が違う? 枝豆の味わいの変化
ゆでた枝豆はふっくら柔らかく仕上がりますが、その分、豆の旨みや香りが一部お湯に溶け出してしまいます。一方、フライパンで焼くと枝豆はさやの中に閉じ込めた水分で自分自身を蒸し焼きにする状態になり、水に触れずに加熱されるため味がギュッと凝縮されます。
また、焼き加減によっては表面に軽く焦げ目がつき、香ばしさがアップ。
枝豆の甘みが際立ち、素材の旨みをしっかり感じられる一皿になります。
下処理のコツ
焼き枝豆を美味しく仕上げるためには、ちょっとした下ごしらえがポイントです。
1. 枝豆の両端は切らない
ゆでるときのようにさやの端を切り落とす必要はありません。
むしろ切ってしまうとそこから水分が逃げやすくなります。房はそのままの形で使いましょう。
2. 塩もみで表面を整える
まず枝豆を塩で軽くもみ、表面のうぶ毛を落とします。
そのあと水でさっと洗えばOK。このとき水分を完全に拭き取る必要はありません。
枝豆が濡れたままフライパンに入れても、ほどよく蒸されて美味しく仕上がります。
方法① フライパンに直接入れて焼く
最もシンプルなやり方です。
1. フライパンを軽く熱する
鉄フライパンを中火で軽く温めます。
ここで「高温までカンカンに熱する必要はありません」。軽く温まったらすぐ枝豆を入れてOKです。
2. 枝豆を投入
洗った直後の枝豆を水気を切らず、そのままフライパンに入れます。
残った水分がちょうどよく蒸気を生み、蒸し焼き状態にしてくれます。
3. フライパンを動かす
ヘラでかき混ぜながら、またはフライパンを軽く振りながら焼きます。
4. 塩をふり完成
表面に軽く焦げ目がいたら塩を振って出来上がり。
焼き枝豆ならではの濃い風味を楽しめます。
方法② 塩を敷いて遠赤外線効果で焼く
もうひとつの方法は、フライパンに塩を敷いて焼くスタイル。塩を熱することで遠赤外線効果が働き、素材の内側からじっくり熱が伝わります。
1. フライパンに塩を敷く
粗塩をフライパンに広げます。入れた枝豆が塩で浮くぐらいがいいです
2. 塩を熱する
中火で塩をじっくり温めます。
熱した塩はまるで小石のような役割を果たし、枝豆をムラなく加熱してくれます。
3. 枝豆をのせて焼く
枝豆をフライパンにいれ軽く揺すりながら火を通します。
4. 味付けは控えめに
塩からほんのり塩味が移るため、仕上げの塩ふりは必要ないです。
自然な塩気で楽しめます。
この「塩敷き焼き」は銀杏の殻付き焼きでもよく使われる方法です。銀杏同様、枝豆も仕上がるので、一度試す価値ありです。
鉄フライパンで焼くメリット
鉄フライパンは調理の過程でごく微量の鉄分が食材に移るので、鉄分補給にも役立つのが嬉しいポイント。
とはいえ、今回は枝豆なので厳しそうですが‥‥‥
でも遠赤外線効果でじっくり焼いた枝豆は、外は香ばしく、中はジューシーに。直接焼く方法は香ばしさが際立ち、塩敷き焼きはしっとりした仕上がりと、それぞれ楽しめます。
枝豆を焼くことで味が濃くなる理由と栄養の観点
枝豆を茹でると、水に溶けやすい栄養素や旨味成分がゆで汁に流れ出てしまうことが知られています。
特にビタミンCやビタミンB群、カリウムなどは水溶性で、茹でる過程で失われやすい栄養素の代表です。
農研機構の研究や文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、水溶性ビタミンはゆでると30〜50%程度減少することがあると報告されています。
一方で、焼き調理や蒸し調理のように「水をほとんど使わない」加熱方法では、
• 栄養素の流出が少ない
• 素材本来の旨味成分(グルタミン酸など)が残る
• 香ばしさやメイラード反応による風味が加わる
といったメリットがあります。
枝豆をフライパンで直接焼くと、さやの中に閉じ込められた水分が蒸気となり、枝豆自身の水分で蒸し焼き状態になるため、茹でるよりも栄養素や旨味を損なわず調理できます。つまり、「味が濃く感じる」のは、
1. 栄養素や旨味が流れ出さない
2. 水分量が減り味が凝縮される
3. 焦げ目や香ばしさで風味が強まる
という科学的な理由があるんです。
さらに、焼く過程での水分の減少率もポイントです。
例えば野菜を焼くと、10〜20%程度水分が減ることが知られており(調理科学の研究報告より)、その分だけ豆の甘みや旨みが口の中で強く感じられます。
焼き枝豆の魅力
フライパンを動かしながら焼く時間は、香ばしい匂いに包まれてなんとも贅沢。茹でた枝豆より味が濃く、食感もしっかりしているため、お酒のお供にはもちろん、おやつやお弁当にもぴったりです。
焼く手間は少し増えますが、その分「豆の香り」を存分に楽しめるのがこの調理法の魅力。ぜひ作ってみてください。