あんかけ焼きそばを鉄フライパンで上手に作る
あんかけ焼きそばを鉄フライパンで上手に作る
あんかけ焼きそばって、ちょっとハードル高そうに見えませんか?
「具材の炒め方も難しそうだし、麺だって、それとあんの加減や洗うのも面倒そう…」なんて思う方も多いはず。
でも実は──。
あんかけ焼きそばは、意外にも鉄フライパンが得意な料理なんです。
鉄フライパンは“焼く”と“炒める”に関しては本当に優秀。
そのうえ、あんを作るときの熱伝導も安定しているので、焦げにくく、味の深みも出やすいんです。
では、その秘密を3つの工程に分けて解説していきましょう。
工程① 麺を炒める ― 最初の壁をつくる
あんかけ焼きそばの最初のステップは「麺を炒める」こと。
ここがすべての土台になります。
まず大事なのは──
麺をしっかりほぐしておくこと。
冷蔵の焼きそば麺をそのままほぐさずに入れると、油も回らないし熱も奪われるしこびりつきの原因に。
そうなると、せっかくの鉄フライパンでも焦げついたり、固まったりしやすくなります。
なので、フライパンに入れる前に手でしっかりほぐしておくのがコツ。
空気を含ませるようにふんわり、この“ふんわり感”が、あとでパリッと焼き上げるポイントになります。
次に、フライパンの準備です。
油をひいて中火〜強火で加熱。
うっすら煙が立ってきたところで一呼吸おいて、麺を入れます。
ここで慌ててはいけません。
焦らず「熱が落ち着いた瞬間」に麺をふわっと広げる。
そうするとフライパンの熱と油がしっかりと麺の表面をコーティングしてくれます。
両面をしっかり焼くのもオッケー、更にほぐしてふんわり焼くのもオッケー
この後であんをのせてもベチャッとならない、いい感じの食感を生むのです。
工程② 具材を炒める ― 火の通りを読む
さて、麺が焼けたら次は具材。
ここで意識したいのは、基本ですが**“火の通りにくいものから入れる”**という順番。
まず最初はお肉。
豚肉や鶏肉など、しっかり火を通したいものからスタート。
次に海老やアサリなどの海鮮。
海鮮は加熱しすぎると硬くなるので、お肉が7割ほど火が通ってから入れるのが理想です。
そして最後に野菜。
ここでもうひとつポイントがあります。
生で食べられる野菜は後、でももやしを入れるなら別枠で考える、です。
なぜかというと、もやしは細胞の中に水分が多く、火を通しすぎるとその水分が流れ出てしまうからです。
一度出てしまった水分は戻りません。
だから、もやしは“ほぼ後の方”、他の具材が炒め上がる直前に入れると、シャキッとした食感が残ります。
なんなら別に炒めて置いて、最終に混ぜてってのもあり
炒め加減は1分のあればオッケー、炒めすぎないことがコツです。
工程③ あんで閉じる ― 仕上げの魔法
そして、いよいよクライマックス。
炒めた具材を“あん”で閉じる工程です。
あんを作るときに思い浮かぶのは片栗粉。
もちろん王道ですが、実はこれ、片栗粉だけが正解じゃないんです。
米粉や葛粉でもあんは作れます。
使う量と火加減にもよりますが米粉を使う、葛粉を使うで違ってくるので楽しめます。
※詳しくはは下に↓
素材を変えるだけで印象が変わるので、気分で使い分けてみるのもおすすめです。
さて、気になるのが「焦げつかないか?」という点。
でも大丈夫。
あんかけ焼きそばの“あん”は、焦げるほどの温度まで加熱しません。
むしろ中火〜弱火で、じっくりとろみを出すのがコツです。
フライパンの中でトロトロとしたあんが具材を包み込む瞬間──
香りがふわっと立ち、鉄フライパンの底から旨みが上がってくる。
この時間がたまらないんです。
ちなみに米粉、片栗粉、くず粉の特長はこんな感じ
🌾米粉(こめこ)
• 主成分:米のデンプン(主にアミロースとアミロペクチン)
•糊化温度:65〜75℃前後
• 特徴:粒子が小さく、水を吸って粘り始めるのが比較的ゆっくり。
温度が上がるにつれて急に粘度が高まり、 冷めると少し固まりやすくなります
🥔片栗粉(かたくりこ)
• 現在はほとんどがじゃがいも由来のデンプン(馬鈴薯澱粉)
•糊化温度:58〜65℃前後
• 特徴:低温で素早く糊化し、透明度が高い。
熱を入れると一気にとろみが出て、冷めると少しサラッと戻りやすい
🌿 葛粉(くずこ)
• 原料:クズ(葛)根のデンプン(ほぼ純粋なアミロペクチン)
•糊化温度:70〜80℃前後
• 特徴:ゆっくり粘りが出てくるが、粘度が強く、非常に透明感が高い。
冷めても固まりにくく、なめらかな食感が持続
完成したあんを焼き麺の上にかける瞬間の「ジュッ」という音。
これこそ鉄フライパンで作る醍醐味。
香ばしさとまろやかさが一度に広がります。
そして最後に ― 洗い方が肝心
あんかけ焼きそばを作ったあとのお悩みといえば、
「フライパンの洗い方」。
あんがこびりつくんじゃないか、と不安になりますよね。
でもポイントさえ押さえれば大丈夫。
使い終わったら、まだ余熱のあるうちに水かお湯を入れてサッと洗うこと。
ぬるい程度の余熱でOKですが、熱すぎると火傷の危険もあるので注意。
洗うときの道具は、**ステンレスたわし(パーマ型)**がおすすめ。
ここで少し重めのもの(グラムのあるタイプ)を選ぶと、力を入れなくてもスルッと汚れが落ちます。
「鉄をこする」というより、「表面を円を描く」イメージです。
余熱+水分+たわし、この3つが揃えば、洗剤なしでもピカピカに。
鉄フライパンの良さを保ちながら、すぐ次の料理にも使えます。
まとめ ― 鉄フライパンとあんかけ焼きそばの相性
あんかけ焼きそばは、3つの工程でできています。
1. 麺を炒めて、目指す土台をつくる
2. 具材を炒めて、旨みを重ね
3. あんで閉じて、全体をまとめる
この3ステップを守れば、家庭でも驚くほど本格的な味に仕上がります。
そして何より──
鉄フライパンは、実はあんかけ焼きそばが得意な料理なんです。
強い火力でパッと焼き、具材の旨みを閉じ込め、
あんのとろみをやさしく包み込む。
この一連の流れが、鉄フライパンの力をもっとも活かせる瞬間なんです。
難しく考えず、「麺」「具」「あん」をそれぞれ別々に丁寧に。
それだけで、香ばしくてとろっとした最高の一皿が生まれます。
あなたのキッチンでも今日からぜひ試してみてください。
きっと、鉄フライパンの新しい一面に出会えるはずです。
