第296号あじねフライパンメールマガジン
◇ 目 次 ◇
【1】 楽しいレシピのその前に・・・・砂糖の続き
【2】「鉄フライパンの楽しいレシピ」・・・タイムトラベルのレシピ
【3】フライパンの出来上がりと錆磨き直し日程のお知らせ
【4】今回のレシピ詳細と更に美味しくなるポイント
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お料理「さしすせそ」ってご存知でしょうか?
って、聞くまでもないですよね。
「さしすせそ」の「さ」は砂糖です。
前々回のメルマガから砂糖について書いていますが、どうでしょう、食卓の話題に一役立ちましたでしょうか?
「忘れちゃった」と言う方の為に少しまとめますと・・・・・・、
江戸時代の運輸業だった北前船は、琉球(沖縄)まで昆布を運んでいたと言うのがよく言われていますが、
実は琉球で作られる砂糖を仕入れる事の方が、目的だったんじゃないか。
と言うのは北前船が集まっていた堺には、砂糖を商いする超巨大な街があったし、戦前沖縄の辻にある遊郭でも砂糖は重要な話で、
それだけ沖縄の砂糖は大きな存在だった
と言うのが今までの話です。
砂糖は「超」が付く程の身近な調味料ですが、意外に知らないもんだと思っていたら、いやいや、もっとありましたよ、知らないことが。。。。
ピン!って来る方いらっしゃると思いますが、それは歴史なんです。
「それ本当???」
って思う事ばっかり。。。。。
砂糖は甘いですが、歴史としては決して甘くない。
その理由は、、、、、
砂糖は奴隷なしでは語れないんです。
よかったら、これ↓↓検索して下さい。
「甘さと権力―砂糖が語る近代史」
今回参考にした本ですが、見て欲しいのはその表紙です。
耕している人、植えている人、そして白い服を着ている人、それとこの人が持っている物、これが砂糖産業を支えていた事だったんです。
砂糖の歴史を簡単に書きますと、
砂糖の原料のサトウキビは紀元前にパプアニューギニアあたりで栽培が始まったらしく、インドネシアからインド。
そして7世紀くらいにアラブの国に伝わりました。
その後アラブ人が地中海とアフリカまでサトウキビ栽培を広げます。
しかし十字軍によってヨーロッパ人が勢力を持ち、サトウキビ栽培もヨーロッパ人の手に移ります。
本によってはアラブ時代から奴隷はいたという説もあるんですが、どちらにしてもサトウキビから砂糖を作る行程上
●重労働である事
●収穫から粗糖まで短期間でやらないと生産が大変悪くなる事
●砂糖は需要が高い商品である事
などから、絶対に人手が必要
更にこの時ペストの流行で、ヨーロッパ人の30~50%が亡くなり、労働者不足が深刻化します。
それで目をつけたのがアフリカ。労働力の輸入です。
その後、砂糖生産は拡大するのですが、作る段階で薪が大量に必要な事から地中海の森林破壊が進みます。
更にオスマントルコによって地中海が分断した事からサトウキビ栽培は、スペインとポルトガルの植民地であるアフリカ大陸の西の島々に移っていきます。
理由は、施設の投資も少なくプラス森林資源もあり、そしてアフリカ大陸からの人手の調達にも好都合だからです。
しかしここで大きな変化が起こります。
それは!!
↓
コロンブスのアメリカ大陸発見。
なんでコロンブス??って思うと思いますが、結構ポイントです。
コロンブスはこの時、キューバの横のイスパニョーラ島に目をつけます。
理由は、サトウキビの栽培に適しているから
と言うのはコロンブスの初めの妻は、サトウキビ栽培が盛んな植民地の島の総督の娘。二番目の妻は砂糖農園の娘です。
コロンブスがサトウキビ栽培や商品価値を知らないはずがない。
しかも当時、砂糖は莫大な利益を生む産業です。
そこでコロンブスはサトウキビを船に積んでイスパニョーラ島に持っていきます。そして彼の考えた通りこの島は砂糖生産の一大拠点となりました。
でも、こんな事↓↓世界史で習った事ないですか?
「コロンブス達が上陸した島では、ヨーロッパ人からの流行り病で島民の8~9割が死んだ」
実はそれにはこんな説が・・・・
コロンブスは、ユダヤ教からキリスト教への改教徒となったそうです。
なぜならコロンブスを支援したスペインのイサベル女王は、ユダヤ人国外追放政策の張本人。
なので当時ユダヤの人にとって改教か死か国外追放しか選択がありません。
なのでコロンブスはこう考えた
↓
「この島で砂糖産業を起こせば新天地になる。となると・・・・土地を所有している島民は邪魔」
なので毛布に天然痘を付けて島民に配った・・・・・
え”ぇぇぇぇ
砂糖生産は地中海時代からアフリカ人なしでは成り立っていません。
もちろんこのアフリカの人達は、職を求めて来た人達です。
なので、このイスパニョーラ島にもアフリカ大陸から大量の人が運ばれてきます。
調度この頃位から、サトウキビ栽培から粗糖までの加工は現地、粗糖から精糖までを消費国といった具合に分業になり始めました。
更に、今度はポルトガルが森林が豊富なブラジルに目をつけ、サトウキビ栽培の大プランテーションを作ります。もちろんアフリカからの人達を大量に送り込んで、です。
このブラジルのプランテーションによってスペインのイスパニョーラ島の砂糖生産は価格面から衰退しますが、
カリブ海を中心にフランス、イギリスが加わり砂糖製造の競争が更に激化します。
更にアメリカのニューヨークには、粗糖から砂糖を作るための製糖所が出来ます。
本の表現を借りると、ニューヨークで最も大きな建物が製糖所だったとあるんです。
要は、その当時それくらい大きくて収益の高い主力産業であったと想像出来ます。
しかも当時ニューヨークはイギリスの一部ですから、税収入の面からも重要拠点。なのでイギリス政府がニューヨークを無法者から護衛する必要が出てきました。
でも・・・・これにはお金がかかります。
と言うのは、当時糖蜜法と言うのがあって、諸外国からの粗糖など半加工製品には多額の関税がかかっていました。
でも実際アメリカ内は法律を無視した密輸が多くなり、法律は機能していませんでした。
しかしこれではイギリス政府は成り立たないので、関税を下げた新しい砂糖法を作り税収入をしっかりさせて費用を賄おうとした。
でも・・・・
アメリカ人としては古い糖蜜法の方が密輸などで好都合だった為、新しい砂糖法に抗議してイギリスからの輸入品の不買運動を起こしたんです。結果砂糖法は廃止になりました。
でも、掛かるものは掛かる訳です。
そこでイギリスは新たに多くの法律を作り、兎に角税の徴収を強くしたんです。
そうなると更に抵抗が起こり、そして遂に・・・・・
独立戦争が起こった。
え”ぇぇぇぇぇl!!
アメリカの独立の発端は砂糖なの????
毎日何気なく使っている砂糖ですが、その砂糖にそんな歴史があったなんで・・・
今回予想を超えた壮大な話になり過ぎて虚脱感すらありますよ。
今回フライパンの話とはだいぶズレちゃいましたけど
でも食事の会話になりそうですか?
内容的にはちょっときついか。。。。。。でも、違う意味でも料理って面白いというか、興味深いっていうか・・・・
続いては鉄フライパンのレシピですが、話の流れからなんだか小さく感じます。。。
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【2】鉄フライパン屋の楽しいレシピ
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今回のレシピは「夏のおやつに食べてね」をテーマに、クッキーを鉄フライパンで焼きます。
どうです??作ってみようかな~~~って気になりました?
もしかして、、、今こんな風に思っていませんか?
「それならレシピ本の方が詳しい」
そのご意見ごもっとも!!
ならば、200年前の味って聞いたら、ちょっと興味出てきません?
実は、今回読んだ砂糖の本に、1829年のクッキーの作り方があったんです。
なので200年前の味を作ります。
で作ったのがこれ
↓ ↓
https://ajinefrypan.com/cooking-ckiee200.html
この夏、クッキー作りでタイムトラベルはいかがでしょうか。
詳しい作り方は下に
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【3】フライパンの出来上がりと錆磨き作業のお知らせ
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□■ただいまのフライパンの出来上がり日数はこちらに。
https://ajinefrypan.com/frypanuplist.html
□■錆磨き直しの作業日程
只今の磨き直しのお預かり期間は4週間ほどです。
お電話またはメールでご予約ください。
※お盆休みもありお預かり期間が長くなりご迷惑をかけてしまう場合がございます。
お日にちに余裕がございましたら、前もってご予約されるといいです。
電話(通話料無料)0120-218-292 (9:00~18:00)
またはメールをご利用下さい。
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【4】詳しい作り方とポイント
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【材料】5~6枚分
アーモンド23g
レモンピール3g(レモンの皮1/4程で出来ます)
砂糖100g
米粉100g(個人の都合上米粉を使っていますが、大丈夫な方は小麦粉をお使い下さい)
玉子1個
クローブ 0.3g
シナモン 0.3g
コリアンダー 0.3g
ナツメグ 0.3g
●調理時間:下ごしらえ時間含めて約50分
一日前にレモンピールを作っておきます。
作り方は簡単。レモンの皮を剥いて2~3回煮こぼします。
レモンと水と砂糖同量で煮て、とろみが出てきたら完了。
後は粗熱を取ります。
それぞれ挽いた香辛料を混ぜます。
レモンピールとアーモンドはみじん切りにします。
これで準備完了。
米粉に砂糖と香辛料を入れてかき混ぜ、そこにレモンピールとアーモンド、それに玉子を入れて混ぜます。
(※私の個人的な都合で米粉を使っていますが、大丈夫な方は小麦粉を)
これを4~5等分に分け、平べったく成形します。
さあ、ここからは鉄フライパンでオーブンのように焼きます。
アルミ箔をフライパン径の1.3~1.5倍位の長さに切ります。
それを少しクシャと縮めフライパンに収まる位にします。これを2枚作り2枚ともフライパンに引きます。
これで鉄フライパンオーブン化完了。
フライパンをガス台に乗せて弱火にして1分予熱。
そうしたらクッキーを並べて蓋をします。
片面17分焼いたら、裏返して5分焼いて出来上がり。
焼き立てを食べてもいいですが、粗熱が取れたぐらいが一番美味しかったですよ。
今回使ったフライパンは板厚2.3ミリ、サイズ28cm深さ5.5cmのタイプです。
厚い板厚の上、底面も広いので「底面で焼く」料理に好都合です。
そうそう。
今回、このクッキーと似合う飲み物も作ってみました。
それはジンジャーエール
これも作り方は簡単
と、言うか。。。切って砂糖につけて放置のみ
砂糖が溶けたら出来上がり。大体3日位で出来ますが、一週間位してからの方が美味しいです。
出来上がりに水を足しても、炭酸水を足してもいけます。
写真はこちら>>
https://ajinefrypan.com/cooking-ckiee200.html#spb-bookmark-3
【鉄フライパンでオーブンテクニック】
クッキーは普通オーブンで焼きますが、フライパンでも可能です。
ただフライパンの場合、オーブンのような熱の伝わり方ではなく、下からの熱が強いので、これを和らげてあげないといけません。
そこでアルミ箔を使います。
アルミ箔を少し縮めてからフライパンサイズまで伸ばして、フライパンの中に敷きます。これを2枚重ねてあげます。
これでそこそこフライパン底面からの熱を和らげてくれます。
いつも読んで下さり
ありがとうございます。
追伸
我が家でちょっと面白い事がありました。
「我が家の味って言ったら何?」って子どもたちに聞いたら、「生姜砂糖の唐揚げ」って皆一様に答えたんです。
子どもたちが同じ味を言うって、私は「まさに我が家の味だ!!」と思っていたら、妻は合点がいかない様子です。
どうやら妻は、甘酢の唐揚げだと思っていたようなんです。
と言うのは、我が家の唐揚げは大体2~3種類の味が並ぶのですが、大方は甘酢を絡めたものと何かなんです。
なので甘酢の唐揚げは進化を続け、今では私は結構美味しい味だと思っているし、それは子どもたちも同様の様です。
だから甘酢の唐揚だと思っていたら、違った
でも面白いのは、子どもたちからの理由も全員同じだったんです。
それは・・・・
「およそにない味だから」
得意料理メニューが我が家の味と思っていたら、それは自分だけかもしれません。。。。。。
今回の参考書
砂糖の文化誌 伊藤汎監修
砂糖の歴史 アーノルドスミス著手嶋由美子訳
甘さと権力 シドニーWミンツ著川北稔・和田光弘訳
レシピ「イタリアのお菓子」ウイリアム・アクシス・ジャーリン著1829年
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オーダーの服は腕を上げた時や座った時にその良さを感じます。
実はフライパンも同じ
お料理や使う方の使いやすさにあわせて
板厚、深さを変えてフライパン作ってます。
「あじねフライパン」