鉄フライパンの洗い方
鉄フライパンを使っていく上で、意外に重要なのが洗い方です。
洗い方は一般的は「お手入れ方法」の中に含まれてしまうものですが、あえて洗い方を取り上げてお伝えします。
うちのフライパンをお使い頂いている方は、なんとなくでも分かっていらっしゃる方が多いと思いますが、これを読んでみて「勘違いしていた」って方もいらっしゃるかもしれません。もし、そうでしたら洗い方を変えてみてください。
また、「鉄フライパンは使ったことがない」「興味はあるんだけど・・・」と言う方にも参考になればと思います。
まずフライパンを洗う事には、調理の前と調理の後があります。ですので、この2つに分けてしっかり書いてお伝えします。
調理の前
もしかしたら「使う前は洗わない」という方がいらっしゃるかもしれません。
先に書いておきますが、”洗わないこと”が悪いわけではありません。
お客様の中にも「私は使う前は洗っていない」と言う方がいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です、それはそれでオッケーですので心配しないで下さい。
恐らく、既に使い慣れていて、ご自身で状況を判断できる方だと思いますので、それはそれで問題ないと思います。
では、話を続けます。
ここでの見るべきはフライパンの状態と言う事なんです。
例えば、”一週間ぶりに使うのであれば軽くでも洗いたい”と思いますし、”10分前に使ったばっかり”と言う事であるなら、洗わないでそのまま調理に使うのも普通です。
要は、フライパンを見て、ホコリが目立つとかどうかと言う位のレベルで、軽く水で流したり、水で流しながら軽く擦ってあげる位で良いと思います。
擦る強さ加減は、簡単に表面をこする程度です。
その後は、フライパンにある水分を飛ばしてから調理をスタートさせます。
また、前回においが強い料理をしたなんて事であれば、気持ち的にも洗いたいかもしれません。その場合は洗ってあげてください。
ニオイについては、は調理前の加熱でかなり弱くなりますし、使っていく中でも徐々に気にならなくなります。
また更に使うことで、次の食材や調味料のニオイも相重なっていくのもあります。ですので気にしだすと止まらなくなるので、あまり気にせずどんどん使っていった方が良いと思います。
またお客様からお話を伺う中で、卵料理に関しては専用のフライパンを使っている方もいらっしゃいます。
これは分かる気が致します。
ただ、そのフライパンで作る卵焼きにバターを使うと、今度はそのバターの匂いが残ると言われる方もいらっしゃいます。
この場合、次に作るときに少し空焚きしてから水でこすり洗いしてから使う方法と、空焚きの際いつも使っている油を入れて空焚きしてから水でこすり洗いをしてその後使う、この2パターンでお薦めしています。
※この方法の効果についての感想は「それなりに効果がある」とのことでした。
あまりにも、そういった事が気になるのであれば、鉄フライパン以外の表面コーティングのあるフライパンやガラス製を選ぶことをお薦めしますが、どんなフライパンの表面にも小さな凹凸があり、ここに極微量の食材がのこります。
これがにおいの原因を作っていたりしますので、根本的には解決しないかもしれません。
ちょっと話が逸れますが、食材でなく食器洗剤のにおいが気になると言われる方おられると思います。この方法については、いくつかあると思います。私達でもおすすめしている方法がありますので、調理後の洗い方の方法を御覧ください。
また魚料理でも気になる事があると、お問い合わせを頂く事があります。
この場合ニオイ消しの為に、銅製のたわしやお湯に重曹を入れてこする、簡単な野菜炒めをするなどの方法もあります。
この3つについて実際洗ってみると、野菜炒めと重曹が同じくらい、続いて銅製たわしというのが実感です。
でも、一番はどんどん使って行くうちに気にならなくなると言う方法でした。
ここまでをまとめますと、調理前は「表面にホコリがあるか位で判断すると良い」です。
それとは逆に、洗ってから使った方が良い場合があります。
それは、どんな時かと言うと”表面に錆がある場合”です。
でも錆の状態でも違いますので、分けて書きます。
「うっすらと錆がある場合」
この場合は、ステンレスたわしで水で流しながらこすれば、またいつものように使えます。
その際ですが、力を入れてゴシゴシ擦らず、普通の力で擦り洗いをすれば簡単に落とせますので、無理に擦らない程度で洗って下さい。その後は、水分を飛ばし油を引いていつものように使えます。
ただ、表面をしっかり盛り上げているような錆の場合は、ちょっとお手入れが必要です。
次はそれについて書きます。
表面をしっかり盛り上げているような錆の場合
まずステンレスたわしで擦ってみます。
この時無理に力を入れて擦らず、普通の要領で擦ります。これを2~3回やってみます。
これで落とせればオッケーですが、もしかしますと落としきれないかもしれません。
その時はペーパーヤスリを当ててあげます。
錆の状況に合わせてペーパーヤスリで擦り、その後一旦洗い流し、水分を飛ばしてからそのペーパーヤスリを当てた部分に油を塗り、調理に使ってみてください。
これを聞いて「ちょっと難しそう」「その様になれるかが不安」と思われる方もいらっしゃると思います。
※私達のフライパンについては、フライパンの復活作業もしていますので、そんな不安のある方は、お電話かメールでも声を掛けて頂ければと思います。日程などは、その時にお伝えできるかと思います。
ここまではが「使う前の鉄フライパンの洗い方」です。
文中「ステンレスパーマたわし」と書いています。これは洗剤や研磨剤などがない、普通に売られているステンレスがコイルタイプになっているものです。
続いては調理後の洗い方です。
調理後の洗い方
調理後の洗い方で、まずお薦めしているのが、「調理が終わり、まだ余熱のあるうちに水を流しながら、ステンレスパーマたわしでこすり洗いをする」と言う方法です。
この時擦り方は、写真のとおり円を書くようにこすると良いです。
この場合、流す水は水でなくお湯でもかまいません。ポイントは洗剤を使わない事です。
なぜ洗剤を使わないかと言うと、フライパンに適度に油を残すためです。
と言うのは、鉄フライパンのウイークポイントは、当たり前のことですが錆る事なんです。
錆とは酸化です。酸化は酸素と触れる事で起こります。
なので、この地球にいる限り酸化から逃れることはできませんから、錆を逃れる事は出来ないと言うことになります。
じゃあ、駄目じゃんってなりそうですが、それでもかなり少なくする事は出来ます。
それがさっき書きました「調理が終わり、まだ余熱のあるうちに水を流しながら、ステンレスパーマたわしでこすり洗いをする」の方法です。
それとは別に、使った後にフライパンに油を塗る方法もありますが、言っている原理は同じです。
その原理とは、油を塗るとはフライパンの表面を油が覆う事によって酸素とフライパンの間に油の膜が出来ますので、鉄が空気に触れる事を出来るだけ少なくしてくれ、結果錆びることを少なくしてくれる効果なんです。
使ったあと油を塗るのは意外に大変ですが、これを無理なく効率よくやってくれるのが、水のみで擦り洗いをする方法ということでお勧めしています。実際お客様からの感想で「意外と簡単」って言われます。
ですので、これを読まれて鉄フライパンに更に興味を持って頂けたら嬉しいのです。
でも、ある大きな疑問があるとと思います。
それは「コビリ付いたらどうするの?」「焦げ付いたらどうするの?」って事ではないでしょうか。
この焦げ付きの洗い方については、知っておくと良い方法がありますので、このあとしっかりお伝え致します。
「焦げ付いたらどうしたらいいか」
使いやすい鉄フライパンと言えども、コビリ付かないと言うことはありません。
こびり付きについて誤解のないように説明しますが、私たちのフライパンは食材が付かなくて驚くと声も頂きますが、食材がフライパンにくっつかなくても調味料はコビリつくと言うことはあります。
この原因は、砂糖やデンプン系、タレやなどコビリつきやすい調味料やお肉のタンパク質だったりもします。
また熱による砂糖の飴化したものは、フライパンにこびり付かないようにすると言うことは無理な話です。
実は私、こう言う調味料の焦げについては、その調味料が濃くなった感じで味としては嫌いじゃないんです。だから、調理としてあえて焦がす事だってやりますが、これも似たような状況です。
私のような焦げ好みも含め、これから書く方法を知っていれば、こびり付きも焦げ付きも対応ができます。
その方法とは「一回で落とそうとしない」です。これは大文字でお伝えしたいです。
具体的な方法としては、調理を終えまだ余熱のある内にステンレスパーマたわしを使って水を流しながら擦り洗いをします。
擦る力はいつもと同じです。気合い入れて擦る必要は全くありません。普通の力で十分です。
そして擦っている時に、焦げが落ちにくくなる瞬間があります。これはフライパンが冷めてしまった瞬間でもあります。
このタイミングについては、慣れた人にしか分からないという事はありませんので難しく考える事はありません。誰でも分かる瞬間です。
ここで一旦洗うのを止めます。
でも、フライパンは汚れが落ちた状態ではありませんので、「これで良いのか?」って疑問もわきますが、それでオッケーです。
そうしたら、その濡れたフライパンのまま、直ぐに火にかけて再度フライパンを温めます。
火にかける時間は5~10秒位で十分。
そうしたら、また水を流しながらステンレスパーマたわしでこすり洗いをします。要は繰り返してあげます。この繰り返しで大方は落ちます。
でも、もし落ちきれないようでしたら、再度繰り返して下さい。
3度もやれば無理なく落とせます。
ポイントは、落ちないからと言って力任せに無理に擦らない事です。
焦げを一度に落とそうとすると、その部分を集中的に擦ったり、力いっぱい擦ってしまいます。
こうなると当然擦る手には力が入ってますので、結果必要以上にフライパンの表面を傷つけてしまいます。
また局部的に擦る傾向があるので、こうなると、どうしてもその部分だけが傷んでしまいます。
そうなった場合は表面を再度焼いたり、表面を磨いてあげたりも必要になったりします。
そうなってしまった場合でも私達のフライパンでしたら、その復活作業もしていますので声を掛けて頂ければと思います。
鉄フライパンの良いところは、上手に使えば長く使える所です。
長く使えれば、単純にお得な感覚になりますが、それだけではありません。
ある日、何気なくフライパンを覗いた時、小学校の運動会、部活のお弁当、誕生日のご馳走、これで色々作ったな~~~と、フライパンを見て温かくなれるのがうちのフライパンの良いところでもあります。
鉄フライパンは、フッ素フライパンのような表面コーティングのあるフライパンの様に直ぐに調子よく使えるという事がありません。
ですので、コツを知って上手に使って油馴染みを良くしてあげる必要があります。
ただ、ここで問題があります。
その油馴染みはすぐには出来ず、時間がかかるものなんです。
先程も言いました「洗剤を使わず水のみでこすり洗いをする」と言う方法は、油馴染みを良くする事にも繋げてくれますので、なので、ぜひ、知ってほしいと思って書きました。
よく鉄フライパンは育てるように使うと言われるのも、こんな理由からだと思います。
ぜひ、上手に使って、年を重ねるのと同じに美味しい料理と「美味しいね」の笑顔と、お料理だけでなく思い出にも温かくなるような、そんな私達の鉄フライパンと末永くお付き合い頂けましたらと思います。