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あじねフライパン発行 第271号/2020/12/24)

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突然ですが・・・・クイズです。

なんでクイズ?って思うと思いますが、ちょっとお付き合い頂ければと思います。


問題
「イポメア・エデウリィス・マキノ」って、何でしょうか?






「なにそれ?」って感じですよね。

私は「それ誰?」って思いました。
答えは、ぜんぜん違うんですけどね(笑)。






ちょっとヒント出します。

野菜です。





イモ類


どうですか?何か思いつきましたか?


もうちょっとヒント



琉球芋

南蛮芋





更にヒント

唐芋





もうオッケーでしょう。答えは「さつま芋」です。

さつま芋の学名が「イポメア・エデウリィス・マキノ」って言うそうです。



「・・・・・・・・・だから何?しかも答え出すまで、こんな手間暇かけてさぁ。」



と思われたかも知れませんが、ここはグっと堪えて下さい。


でも、この訳を知るとさつま芋が今より美味しくなります、と言うよりも、見る目がかわります。


のっけから期待感を盛り上げてみました。






今回そのさつま芋を使って「芋けんぴ」を作ったんです。


家でも「パリッ!!!」っと美味しく、しかも綺麗な芋けんぴを作ろうって結構作ったんです。

でも、、、、、、できない。



一向に出来ないので、一辺さつま芋についてちゃんと知ろうと思って本を何冊か読みました。




で、



読んでみると


「芋神社」

「芋神様」

「芋殿様」

「芋代官」



って、こんな言葉が出てくるんです。意外でした。


芋が付く言葉と言ったら、芋兄ちゃんとか芋役者とか、さつま芋農家さんには申し訳ないのですが、
ちょっと馬鹿にした言い方があるので、これはそう言った比喩なのかと思ったら、いやいや、これが大真面目のこんこんちき

「神様」として、ちゃんと敬意を持って使っているんです。




ちょっと不思議でしょ



さつま芋を軽く見ている訳じゃないですけど、私、さつま芋って言ったら、ホクホクとか石焼き芋とか、スイートポテトとか、食べ物関連しか思い浮かびません。
それが「芋」で「神様」ですから、ギャップがありすぎます。


で、ちょっと調べてみました。



調べるにあたって、まず「さつま芋って何て言うの?」って、簡単な質問を投げかけてみました。

すると北海道の方は「さつま芋はさつま芋だ」と言うんです。

私が居ます神奈川では「さつま芋って言うけど、唐芋とも聞いたことがある」って感じです。

沖縄の方に聞くと「さつま芋って言ったり、唐芋って言ったりもする」って答えでした。



さつま芋は、地域によって唐芋だったり、南蛮芋だったり、琉球芋だったり、実際は使っていなくても「そんな呼び名もあるよ」位に微妙な呼び名があったりします。



今回読んだ「さつまいも:著者板井健吾」の中にも、色々な呼び名が書いてあります。更にこの本にはさつま芋が日本に広がる年表もあるんです。

この表では、さつま芋はコロンブスがアメリカ大陸で発見し、大航海時代と共に世界に広がり、
そして、フィリピン→中国→宮古島、フィリピン→長崎って具合に、1600年前後にいくつかのルートで日本に伝わっているのが分かります。
1600年と言ったら、江戸時代のホント初期です。

ここから約250年かけて西から東に向かって、さつま芋は日本中に広がって行きます。




でも、不思議なんです・・・・・・




AからB、BからCと言うより、”○○年にAからB””○○年にAからC”って具合にスポイトで移すかの様に広がっているんです。



「吉原御免状:著者隆慶一郎」だったと思いますが、大阪の鴻池善右衛門っていう商人が、吉原で初見の太夫に「酒飲め」と盃を投げると太夫以下全員が総引き上げし、そのうえ吉原から叩き出された。
しかも次の朝には八百八町の笑い者になっていたって話があります。

次の朝に江戸中の笑い者になっていたと言うことは、それだけ人のネットワークがあった事になります。

そんなネットワークがあるなら、さつま芋が広がるのもスポイト的じゃなく、ワッと広がっただろうし、期間だって250年はかかりすぎじゃないの???って思います。




でも、実はそこに”さつま芋がいろんな名前を持つ所以がある”と私は踏んだんです。




と言うのは、、、、、、




国立公文書館のホームページに「天下大変〜資料に見る江戸時代の災害」と言う特集があります。
さらに「江戸はスゴイ:堀口茉純著」でも江戸時代は災害が多かったとあり、特に江戸では大火事が500回以上、洪水も50回。

「人生50年」って織田信長が舞っています。

この人生50年を災害に換算すると、一人の生涯で特に江戸の街では火事や洪水、地震など災害に100回以上、食料飢饉にも実体験か噂話かで2回は知る事になります。





ちょっと多すぎませんか?

”江戸の街では火事や洪水、地震など災害に100回以上”と煽るように書きましたが、単純に言っても年2回は何らかの災害に遭っている事になります。

こんなに災害がありながら、江戸は栄えていた訳ですから、いったいどんな時代だったのか・・・・




いや、もしかしたら逆で、災害復興が江戸を活性していたのかもしれません。

現に江戸の街の男女比率は男が圧倒的に多く、、、、、ここから想像すると、女子は結構モテたんじゃないかと。看板娘って言葉もこの時代からあるらしく・・・




いけません。話がさつま芋から脱線してしまうので、戻します。





で、



この資料に、先程のさつま芋が各地に伝わった年表を重ねると、そこそこ合うんです。


何に合うかって言うと、災害や飢饉の時期にです。



さっきも書きましたが、江戸だけでも大火事は500回以上、洪水は50回、飢饉は9回ほどあったそうです。
これだけ災害が多ければ、さつま芋が各地に伝わった年代とどこかで合いそうとも思えますが、、、、、

でも・・・・




例えば、江戸時代を前記中期後期と分けると、前記は日本にさつま芋が伝わった時期。
中期は亨保の飢饉を中心に薩摩から四国、山陰山陽、関東に送られています。
後期の天保の飢饉は薩摩から北陸に伝わっています。

さつま芋は、多少土地が荒れていても育つのが特徴です。



って事は、




さつま芋は、災害などの食糧対策に送られたもので、薩摩から来たら薩摩の芋で薩摩芋。琉球から来たら琉球芋。
唐芋の唐には、外国って意味があるらしく長崎から来たものを唐芋とか南蛮芋とか言って、それが広がったのではないかと・・・・

そしてその栽培を普及させた人が、お殿様だったり、農学者だったりして、飢餓から多くの人の命を救った事から芋神様となったんじゃないかと・・・・・


どうです?この説。



だとすると、さつま芋は私達の祖先を救って来てくれたわけで、今私達がいるのもさつま芋のおかげになります。さつま芋って素晴らしい!!





お台所にさつま芋ありますか?



もしあったら一本手にとって、目線よりちょっと高い位置に持ち上げてみてください。


なんだか、誇らしげに見えませんか?



そして美味しそうにも見えてきませんか?




ならば、ぜひ、鉄フライパンで美味しく頂きましょう。



今回のレシピは、「作れなかった芋けんぴが出来た!!!」です。

これgoodです。





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鉄フライパン屋の楽しいレシピ
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今回のレシピは「芋けんぴ」です。


「売ってる物と自分で作る物と、どうしてこんなに違うの???」って思ったことありませんか。


もしあったら嬉しいです。と云うのも私もその一人なんです。




そう思いながらも、なんか方法があるんじゃないかと思って作ってみたんですが、、、、、





出来ないんです。

色々試しました。

冷凍してから揚げたり

揚げる温度をこまめに変えたりもしました。



でも出来ない。



今どきなら、インターネットで簡単にわかりそうなもんですが、そうしないで作り続けました。



で、その結果、「ついに」です。

出来なかったものが、出来たんです。こういう感覚って嬉しいです。




作れてみると、「なんだこれが原因だったのか」と分かるんですが、でも作っている最中は、”早く”とか思っていて、
結果そんな近道をしようとする考えが、本来を見失しなっていたんです。

こう言った事、日常でもあるんですよ、特にわたし。



恩師から言われていたのに、ちょっと面倒だからスルーしてたら、結果痛い目にあって逆戻りとか
うちのフライパンの場合だって、物が鉄なので、鉄の都合以上に進まないのです。

でも、早くやらなきゃと思ってちゃんと固定しなかったりして、結果やり直しになる。

「始めからしっかりやるべきだった」って反省する事もあります。



いかがです?

皆さんにも、「効率よく」とか「早く」とか、時間に追われて、急いだため結果逆戻りなんて事ないですか?




このレシピは、時間通りに本来の手順を踏めば「こんなに美味しいのが」って実感できる料理です。



時間や効率を追ったが為に・・・・って経験がありましたら、「物事には必要な時間ってのがあるよ」って事を教えてくれるこの芋けんぴで、ちょっと考えてみるのもいい機会です。


丁度年末ですしね。焦らず焦らずって感じです。




出来上がりの写真はこちら!!!

作って実感できる芋けんぴ

厚めの鉄板で作ったフライパンが芋けんぴを美味しくしま〜〜〜〜す。

食べ物も大事だけど、料理をするってホント良いです。よかったら見てください。

 ↓ ↓
https://ajinefrypan.com/resipi-imokenpi.html



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詳しい作り方とポイント
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【材料】

さつま芋中サイズ1本(出来上がりは多分3〜4人分位になると思います)

砂糖
素焚糖でもグラニュー糖でも黒砂糖、上白糖でもOK

お好みで
アーモンド・ココナッツ・チョコレート・ゴマ・きな粉・粉砂糖とシナモン


●調理時間 揚げからは25分位。全部入れたら1日。

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【作り方】




まず、さつま芋を切ります。


切り方ですが、縦方向に細きりにします。こうすると曲がりにくくなります。

切るサイズは3ミリ角位です。イメージで言ったらよく見る芋けんぴよりちょっと細い感じです。




切り分けたら、水で洗い流し、さつま芋が被る位の水に浸します。

この状態で半日以上(理想は1日)漬けておきます。


で、一辺洗ってザルなどで水切りをしておくか、布巾で水分を拭きます。




ここから揚げです。


フライパンに油を入れ150度になったら、2分間揚げます。

2分経ったら直ぐ引き上げます。


引き上げたら最低10分以上放置して冷まします。



冷ましたら、再度絶対150度を越えないように2分間の二度目の揚げをします。

揚げている時は軽くかき混ぜて空気に触れるようにすると、サク感があがります。


ここでちょっとつまみ食いして見て下さい。


実は、この状態でも、結構美味しいです。




でも、更に上を!!!





という場合は、絶対150度を越えないようにして、更に一分揚げます。

そうしたら直ぐに油から出せば、サク感たっぷりの芋けんぴの出来上がり。




後は砂糖でコーティングすればオッケーです。

砂糖の分量は、揚げた芋けんぴ一掴みに対して大さじ1強位。


これをフライパンに入れ、水同量も入れて加熱。


箸でかき混ぜながら、大きな泡から全体から小さな泡が出るようになって少しだけ外側に焼き色が出始めたら、
芋けんぴを入れて絡めます。



ナッツ類などトッピングする場合は、ここで入れて砂糖が絡むのを利用してくっつけます。


チョココーティングは、砂糖をつけずに溶かしたチョコにつければオッケー!!





ひと口食べれば、「作った方が美味しいんじゃない」って言葉がポロリ。




って・・・・・


いえいえ。





これを食べた、ご主人、奥さん、子供、お姑さん、彼、彼女、お隣さん、ポチ、ミャー、子も丑、みんな皆笑顔ですよ。




再度、出来上がりの写真はこちら
きな粉とかチョコバージョンも作ってみました。

↓    ↓
https://ajinefrypan.com/resipi-imokenpi.html


今回使ったフライパンはこちら
厚い板厚ながら、意外に人気があるタイプです。サクッと揚がります。

↓     ↓

https://ajinefrypan.com/23frypan.html





今回は、ちょっと面倒と思うほど、時間がかかります。だって半日以上漬けますからね。



でも、ぜひ、作ってみてください。





更に!!!





この芋けんぴ、お薦めな食べ方があります。

それは、お節を食べた後に、「これ作ったんだけど」と言って、そ〜〜〜〜っと出してみてください。



お正月のご馳走をも上回る程の大好評!!!


に、きっとなりますよ。



いや、折角のお節のお株を奪っちゃいけませんよね。でも、それ程いけます。




新年早々、美味しいの笑顔をゲットして良いスタートがきれるレシピです。



なんなら・・・・・


暮れに一回予行練習して、本番に望んでも良いかも。これなら年末年始で「美味しい」って言う笑顔を2つもゲット!!!

ぜひ、楽しんで下さい。








今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。


今年も、あとわずかですね。



年越しと言えば蕎麦ですよ。


もし良かったら、その蕎麦に大根おろしを添えて下さい。




なぜって???




それは・・・・・・・・・・



薬味は大根下ろし


やくみは下ろし


やく下ろし


厄おろし




って事で、最後はまたこのネタです。



また使いまわしか、って思われた方もいらっしゃると思いますが、まーまーそうおっしゃらず、でも今年もお付き合い下さり嬉しいです。

また、初めてという方は、ぜひ、大根おろしを添えてみてください。沢山は要りません。縁担ぎですからちょっとでオッケー。






今年は大変でしたけど、来年のどこかで「あの時は大変だったね」って言いたいですね。



どうぞよい年をお迎え下さい。





ありがとうございました。